ワークブックには文献案内を掲載する余裕がありませんでした.詳細な文献案内は『経出る』の「文献案内−あとがきにかえて」を参照してほしいのですが,著者白石個人のかなり身びいきな(いろいろとお世話になった先生方の著作が主)文献案内を作成してみました.現在は絶版のものも多いと思います.このリストは白石が勝手にひとりよがりに作成したものです.監修者のおふたりには全く相談していないことをお断りしておきます.○がついている著者は懇親会等でお会いしたことのあるかた.
本書の執筆やふだんの講義にあたっては,
- 筒井康隆『文学部唯野教授』岩波現代文庫(2000)
から,つよい影響を受けました.さいきん講義のとき「俺」っていうもんね♡
高校数学の復習
じっくり読むならこれはおすすめ.
解析(微分・積分)
加藤十吉先生関係の本から2冊.
- 岩堀長慶 編『微分積分学』裳華房(昭和58年)
- ○加藤十吉『微分積分学原論』培風館(2002)
線形代数
高校では実質的に行列は扱わなくなったようですけど,やっぱり必要.『経出る』での扱いも部分的にならざるを得なかったようです.加藤先生関係と,教養部でお世話になった石川先生と富山大学でお世話になった菊田先生のとを.
- 岩堀長慶 編『線形代数学』裳華房(昭和57年)
- ○石川暢洋,○鎌田正良『基礎線形代数』実教出版(1977)
- ○菊田健作『線形数学』牧野書店(1992)
最適化
この分野の決定版から2冊.どちらもとてもわかりやすい.
- ○川崎英文『極値問題』横浜図書(2004)
- ○福島雅夫『非線形最適化の基礎』朝倉書店(2001)
凸解析
いきなり欧文でしかもハイブロウですし,数学よりです.大学院生が読むといいでしょう.ええい,フランス語もいれちゃえ.なお,前掲書の川崎,福島にもていねいな凸解析の記述があります.
- R.T. Rockafellar,‘Convex Analysis’,Princeton University Press(1972)
- ○J-B. Hiriart-Urruty and ○C. Lemaréchal, ‘Fundamentals of Convex Analysis’,Springer(2001)
- ○J-B. Hiriart-Urruty, ‘Optimisation et analyse convexe’,Presses Universitarires de France(1998)
位相空間論
『経出る』では触れていませんが,経済数学を究めていくと必要になりますので.推薦を.前のおふたりともトポロジー.むかし九大のトポロジーの方にはほんとうによくしてもらいました.加藤先生に大学3年の春休みに指導していただいたエブリディ・セミナーは,夜のホントウのセミナーも含めて,はげしく力になりました.感謝.
なお,対応(集合値関数)を学びたい場合は,Aubin and Frankowskaで.
- ○矢野公一『距離空間と位相構造』共立出版(1997)
- ○加藤十吉『集合と位相』朝倉出版(1982)日本数学会2022年出版賞受賞
- J-P. Aubin and H. Frankowska, ‘Set-Valued Analysis’, Birkhäuser(1990)
関数解析
最適化は無限次元空間であつかうとブラボーな結果が得られます(たとえば前掲書の川崎).その基礎固めに.基礎固めのあとは(あるいは平行して)Luenbergerを.
- コルモゴロフ,フォミーン『関数解析の基礎 原書第4版 上・下』岩波書店(2002)
- ハイム・ブレジス『関数解析』産業図書(昭和63年)
- D.G.Luenberger, ‘Optimization by Vector Space Methods’, John Wiley & Sons(1969)
経済数学
日本語の本は『経出る』が決定版なので(笑)洋書から.Hoyが『経出る』と同等レベル(たぶん),Harshubarger が『ワークブック』と同等レベル(これもたぶん).日本語で『エクセルで解く○○数学』を書くひとはNarasimhanみたいにうすくて安いのを作ってほしい.英語のままでゼミにも使えるけれどエクセルのバージョンが古いのと,絶版らしいのが難(かなしい)
- Hoy et al , ‘Mathematics for Economist:2nd Edition’, The MIT
Press(2001)
- R.J. Harshubarger and J.J. Reynolds 'Mathematical Applications for theManagement, Life and Social Sciences:6th edition'(2000)
- Narasimhan, 'Excel Guide to Finite Mathematics and Applied Calculus: 3rd edition,' Houghton Mifflin Co.(2007)
ゲーム理論
各書籍でいろいろな文献が推薦されているでしょうが.富山大関係者の本を(笑)
- ○中山幹夫『はじめてのゲーム理論』有斐閣(1997)
- ○菊田健作『文科系のゲーム理論』牧野書店(2012)
- ○平井俊行『公共財供給問題の提携ゲーム理論分析』三菱経済研究所(2009)
- 船木 由喜彦 , ○中山 幹夫 , ○武藤 滋夫 『ゲーム理論アプリケーションブック』
東洋経済新報社(2013)
ファイナンス
しっかり読むならルーエンバーガーを.表計算ソフトで実技を身につけたいならHoldenを,マーコビッツのMVモデルは今野を.
- ルーエンバーガー『金融工学入門』日本経済新聞社(2002)
- C.W. Holden, ‘Excel Modeling In the Fundamentals of Corporate Finance’:ただし毎年のように改訂されてますし,書名もころころかわるので,最新版は著者名でググってください
- ○今野浩『理財工学I』日科技連(1995)
電卓
以外と基本的な使い方を知らないものです.なのでこの際,推薦を.
- ○重原佐千子『重原佐千子の驚速!電卓速打ちテクニック&トレーニング―』インターブックス(2010)
- CASIO電卓の裏技:【1】【3】【7】【9】【AC】を同時に押す.こんど講義でじまんしようっと.
線形計画法
これは分かりやすい.ついでに読み物も.
- ○今野浩『線形計画法』日科技連(1987)
- ○今野浩『ヒラノ教授の線形計画法物語 』岩波書店(2014)
DP(ダイナミック・プログラミング)
かならずしも標準的とはいえないかもしれませんが.ベルマン賞受賞者の若い頃と最近の著作から.
- ○岩本誠一『動的計画論』九大出版会(1987)
- ○岩本誠一『最適化の数理II ベルマン方程式』知泉書館(2013)
計量経済学
富山大学の同僚のあたらしい書籍から.
- ○唐渡広志『44の例題で学ぶ計量経済学』オーム社(2013)
Nonsmooth Analysis and Optimization
そして深いクレバスに飲み込まれて・・・
Penot先生のところには1年いましたが(ワークブックでもふれたフランス南西部のpauって町です),ついぞ,tu とも jean-paulともよべないで,vous や ムッシュPenotで終わっちまいました(小心者).みんなジョン・ポルっていってたのにな(;_;)
いちど自宅に電話かけたら奥様がでて「ジョン・ポル.電話.ジャポネから・・・」,でペノー先生「あーシュンズケね」.なつかしいひとこまです.
- ○F.H. Clarke, ‘Optimization and Nonsmooth Analysis’, SIAM(1990)
- R.T. Rockafellar and R. J-B. Wets, ‘Variational Analysis’, Springer(1998)
- ○J.-P. Penot, ‘Calculus Without Derivatives’, Springer(2013)
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JPP
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経済学?
- 折下功,野口広『厚生経済学の基本定理についてのセミナー・ノート』日本交通政策研究会シリーズ(1978)
「計画数学のゼミに行くのか?それならば,これで理論武装を」といって加藤先生に頂きました.経済学部の先生にまでなったのに,ちっとも理論武装できてません♡
- NHK Eテレ「オイコノミア制作班」+又吉直樹『オイコノミア ぼくらの希望の経済学』朝日新聞出版(2014)
講義のつかみのネタがいっぱいとれそうです.数式はほとんどでてきませんが.♡
(2022年4月20日現在)