経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:問1.18解説


問1.18でとりあげた「豊作貧乏−不作だと」では,ちょっとメモで「「豊作貧乏」はいつでも起きる現象ではないことがわかる.経済学的には「弾力性」の概念に関わる.」と,コメントしました.その理論的背景の説明です.

【豊作貧乏と需要の価格弾力性】
生産者余剰 $PS=D(p)p$ なので積の微分公式より \[ PS^{\prime}=D^{\prime}(p)p+D(p)=\left(1+\dfrac{pD^{\prime}(p)}{D(p)}\right) =\left(1-|e_d(p)|\right) \] 従って
  1.  $\left|e_d(p)\right| < 1 $のときは $p$が上昇すると $PS$ が上がる.
  2.  $\left|e_d(p)\right| > 1 $のときは $p$が上昇すると $PS$ が下がる.
本問では $D^{\prime}(p)=-1$なので,需要の価格弾力性は \[ e_d(p)=D^{\prime}(p)\dfrac{p}{D(p)}=-1\times\dfrac{p}{14-p}=\dfrac{p}{p-14}. \] したがって,$e_d(p)$の絶対値が $1$ となる $p$ は $\dfrac{p}{p-14}=1 \Longleftrightarrow p=7$となる. よって,本問では
  1.  $p >7 (q<7)$のときは $q$ が増加すると, $PS$ が上がる:豊作リッチ
  2.  $p < 7 (q>7)$のときは $q$ が増加すると, $PS$ が下がる:豊作貧乏
であることがわかる.
【豊作貧乏と需要の価格弾力性終わり】

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