経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:応用問題


金融政策のGDPへの効果


【問】  マクロ経済の消費関数が,消費$C$,GDP $Y$に対し \[ C(Y)=a+cY \] で与えられているとする.ここで$a$は基礎消費であり,$c$は限界消費性向である. 投資 $I$,政府支出 $G$,純輸出$NX$ に対し,総需要$D$が \[ D=C+I+G+NX \] で与えられている時,金利の変化で 投資$I$が$I+{\Delta}I$,純輸出が$NX+{\Delta}NX$となった時,均衡GDPの増加量${\Delta}Y$を求めなさい.

【解答】
  1. 均衡GDPは$Y=D$を解けばよいので, \[ Y=C(Y)+I+G+NX=a+cY+I+G+NX \] より,$(1-c)Y=a+I+G$なので, \[ Y^*=\dfrac{a+I+G+NX}{1-c}. \]
  2. $I+{\Delta}I$,$NX+{\Delta}NX$となった時の均衡GDPは \[ \dfrac{a+(I+{\Delta}I)+G+NX+{\Delta}NX}{1-c}=Y^*+\dfrac{{\Delta}I+{\Delta}NX}{1-c} \] なので \[ {\Delta}Y=\dfrac{1}{1-c}\times ({\Delta}I+{\Delta}NX) \]
【解答終】

【メモ】
金利の下落によって,企業は投資を増やすため$I$は増加する. 金利の下落によって,円売りドル買いが進む(ドルで持つ方が有利になるので). すなわち,為替レートは円安ドル高へ上昇する. ドルで見た時の品は安くなるため,売れ行きが向上し,純輸出は増加する.
【Further Reading】 平口・稲葉『マクロ経済学 入門の「一歩前」から応用まで [第3版]有斐閣ストゥディア(2020)
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