経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:応用問題


虫ば入れてもバイトば雇うな(優劣分岐点)


【問】 「汚さがいい味をだす」と,恥と自慢の区別がつかないオヤジが営むラーメン屋では,オヤジにまかせてしまうと,時々異物(ベタなまんがでよくある例は,コックローチやフライ♡まぁ虫ね虫.リアルに想像しないように(笑))が混入してしまう. 調べてみると,だいたい月に$1,000$杯作るうち$3$杯(混入率$0.3\%$)がこうしたケースだ.オヤジはいつも迷惑料$5,000$円でごまかしている。実は異物が入らないようにするには,バイトを雇い,毎月$20,000$円のバイト料を払って,閉店後に$1$時間店の掃除をしてもらえばすむことも分かっている.オヤジはバイトを雇うべきだろうか.
(1) バイトの雇用コストと迷惑料のコストを比較しなさい.
(2) ちっとも反省の色がないオヤジのせいで混入率が$0.5\%$になった.上と同様のコスト比較をしなさい.
(3) 混入率が何$\%$以下だと,『虫ば入れてもバイトば雇うな』げなことになってしまうだろうか.

【解答】
  1. $雇用コスト=20,000$円.$迷惑料=0.003\times 1,000 \times 5,000=3\times 5,000=15,000$円なので,オヤジは「バイト雇うち,くだら〜ん」と思っているはず.

  2. $雇用コスト=20,000$円.$迷惑料=0.005\times 1,000 \times 5,000=5\times 5,000=25,000$円なので,オカミさんは「バイトば雇わんね」と思っているはず.

  3. $20,000=x\times 1,000 \times 5,000$ が分岐点. したがって,$x=\dfrac{20,000}{1,000 \times 5,000}=0.004=0.4\%$ 以下だとオヤジの主張が勝つ.

【解答終】

【メモ】
本問では実際にかかる費用しか比較していないが,「あの店ば,虫のおるったい」という風評被害がひろまるおそれは十分ある.
【メモ終】

【Further Reading】
山田真哉『食い逃げされてもバイトは雇うな』光文社(2007)
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