経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:応用問題


ゼロクーポン債の構築


【問】 償還$n$と額面$F$が同じ期日の利付債$B_1$と$B_2$がある. 債券$B_1$のクーポンレートを$c_1$とし, 債券$B_2$のクーポンレートを$c_2$とする. このふたつの債券を使ってゼロクーポン債を構築しなさい.

【解答】
  連立方程式, \begin{align*} c_1Fw_1+c_2Fw_2&=0\\ w_1F+w_2F&=F \end{align*} を解けばよい. \[ w_1c_1+w_2c_2=0 \] に,$w_2=1-w_1$を使うと, \begin{align*} w_1c_1+(1-w_1)c_2&=0\\ w_1\bigl(c_1-c_2\bigr)+c_2&=0\\ \end{align*} 従って, \begin{align*} w_1&=\dfrac{-c_2}{c_1-c_2}\\ w_2&=\dfrac{c_1}{c_1-c_2}. \end{align*}
【解答終】

【メモ】
日本には,長期のゼロクーポン債はないが,それと同じキャッシュ・フローを利付債を使って,実現できるかという問題.債券$B_1$の価格を$P_1$とし, 債券$B_2$の価格を$P_2$とすると,このポートフォリオの価格は $P=\dfrac{c_1P_2-c_2P_1}{c_1-c_2}$になるはず.$P > 0$だろうか?
【メモ終】
【Further Reading】 デービッド・G・ルーエンバーガー『金融工学入門』日本経済新聞社(2002)
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