経済学で出る数学
ワークブックでじっくり攻める:応用問題
双曲割引(単利による割引)と指数割引(複利による割引)の比較(2015.11.24作成)
$c$円を単利で割引くと$\dfrac{c}{(1+nr)}$円,複利で割引くと$\dfrac{c}{(1+r)^n}$円であるが,両者にはいつでも成立する不等式がある.
$\dfrac{c}{(1+nr)}\geq \dfrac{c}{(1+r)^n}$を示しなさい.
【解答】
$n$についての帰納法.$n=1$のとき,等号でなりたつ.
$n$ のとき$\dfrac{c}{(1+nr)}≧\dfrac{c}{(1+r)^n}$が成り立つと仮定する.このとき,
\begin{eqnarray*}
\dfrac{c}{(1+r)^{n+1}}&=&\dfrac{c}{(1+r)^{n}}\cdot \dfrac{1}{(1+r)}\\
&≦&\dfrac{c}{(1+nr)}\cdot \dfrac{1}{(1+r)}\quad(帰納法の仮定から)\\
&=&\dfrac{c}{1+r+nr+nr^2}\\
&≦&\dfrac{c}{1+r+nr}=\dfrac{c}{1+(n+1)r}.
\end{eqnarray*}
【解答終】
【メモ】
- 実は$2$項定理を使えば,
\[
(1+r)^n=1+_{n}C_{1}r+_{n}C_{1}r^2+\cdots +r^n \geq 1+nr
\]
より,明らか.
- これは離散版の割引係数.連続版についてはここで解説.
【メモ終】
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