経済学で出る数学
ワークブックでじっくり攻める:応用問題
費用関数が$x^2$に比例する企業.
【『経出る』の問題(例題5.1)】
ある財を生産する企業の費用関数が $C(x)=x^2$ であるとする.この企業は市場価格を所与として生産量を決める(つまり,プライス・テイカーであるとする)...以下省略.
- $x^2$に比例する費用関数って現実的な問題としてあるの?
- これに答えるために(半ば強引に作った)机上の問題(笑)
【問1】 コンビニチェーン「ハイソン」は拠点都市の中心から半径$x$ kmをカバーするように,店舗を配置すると,$px$だけ売上があるという.一方コストは面積に比例して$qx^2$ だけかかるという.「ハイソン」の最適な配置半径を求めなさい.
【解答】
利潤を ${\pi}(x)$ とおくと,
\[
{\pi}(x)=px-qx^2
\]
と書ける.$1$階条件は,
\[
0={\pi}^{\prime}(x)=p-2qx.
\]
これを解いて,$x=\dfrac{p}{2q}$ が最適な配置半径.
【解答終】
【問2】 ビールの卸売業者A社では.「3分の1ルール」に従うと,返品率が出荷数$x$に比例した$rx$になる(従って返品数は$rx^2$).出荷コストを$c_1$, 返品コストを$c_2$, 価格を$p$としたとき,最適な出荷数を求めなさい.
【解答】
収入は $px$ で費用は $C(x)=c_1x+c_2rx^2$ なので,そのときの利潤を ${\pi}(x)$ とおくと,
\[
{\pi}(x)=px-c_1x-c_2rx^2
\]
と書ける.$1$階条件は,
\[
0={\pi}^{\prime}(x)=p-c_1-2c_2rx.
\]
これを解いて,$x=\dfrac{p-c_1}{2c_2r}$ が最適な出荷数.
【解答終】
【メモ】
- 問1はコンビニ・チェーンの「ドミナント戦略」を意識して作った問題.経済学的に妥当な問題かどうかはさておき(笑)この他にも,面積に比例するコストを考えれば,費用関数が$x^2$に比例する例はいくつか作れそう.
- 「3分の1ルール」については,NHKのクローズアップ現代「このままでは“もったいない”
〜動き出した食品ロス対策〜」(2013.11.25放送)を参考にしてください.
【メモ終】
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