経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:応用問題


合成関数の微分法と限界消費性向


【問】   家計の総支出額を$C$とする.また可処分所得(税引後所得)を $Y_d$とおくと \[ C=f(Y_d), \] であるとする.可処分所得$Y_d$は総所得$Y$と租税関数$T(Y)$を用いて, $Y_d(Y)=Y-T(Y)$ と書けるものとする.このとき,限界消費性向$C^{\prime}(Y)$を求めなさい.

【解答】
\[ C(Y)=f(Y_d)=f(Y-T(Y)) \] なので,合成関数の微分法から, \[ C^{\prime}(Y)=f^{\prime}(Y_d)(1-T^{\prime}(Y)) \] となる.
【解答終】

【メモ】
限界消費性向($Y$の変化がもたらす,消費量の変化)が$C^{\prime}(Y)$なので, 限界税率$T^{\prime}(Y)$が低いほど,限界消費性向は大きくなる.
【メモ終】

【Further Reading】 浦田・神谷・古屋『経済学を学ぶためのはじめての微分法』同分館出版(2017)
武隈『マクロ経済学の基礎理論』 新世社(1998)
参考
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