経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:応用問題


交差価格弾力性

$X$財の需要の価格弾力性を$\displaystyle \dfrac{\Delta D_X(P_X)}{D_X(P_X)}/\dfrac{\Delta P_X}{P_X}$, $Y$財の需要の価格弾力性を$\displaystyle \dfrac{\Delta D_Y(P_Y)}{D_Y(P_Y)}/\dfrac{\Delta P_Y}{P_Y}$ とし,$X$財と$Y$財の交差価格弾力性を$\displaystyle \dfrac{\Delta D_X(P_X)}{D_X(P_X)}/\dfrac{\Delta P_Y}{P_Y}$ とする.

$X$財の価格弾力性が$-0.75$,$X$財と$Y$財の交差価格弾力性が$-0.9$であるとする. $Y$財の価格が$10\%$値上がりした場合,$X$財の需要量が変わらないためには,何が起きなければ ならないだろうか.

【解答】
\[ \displaystyle \dfrac{\Delta D_X(p)}{D_X(p)}/\dfrac{\Delta P_Y}{P_Y}=-0.9 \] で,分母は$10\%$値上がりしていることから, \[ \displaystyle \dfrac{\Delta D_X(P_X)}{D_X(P_X)}/0.1=-0.9 \] となる. 従って, \[ \dfrac{\Delta D_X(P_X)}{D_X(P_X)}=-0.09 \] となる.つまり価格変化に応じて$X$財の需要は$9\%$減る. \[ \dfrac{\Delta D_X(P_X)}{D_X(P_X)}/\dfrac{\Delta P_X}{P_X}=-0.75 \] であるが,$X$財の需要を$9\%$増やさなければならないので,$\displaystyle \dfrac{\Delta D_X(p)}{D_X(p)}=0.09$を代入して, \[ \dfrac{\Delta P_X}{P_X}=\dfrac{0.09}{-0.75}=-0.12 \] となる.従って$X$財は$12\%$値下がりしなければならない.
【解答終】

【Further Reading】
スティーブン・レヴィット,オースタン・グールズビー,チャド・サイヴァーソン 『レヴィット ミクロ経済学 基礎編』東洋経済新報社(2017)
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