経済学で出る数学
ワークブックでじっくり攻める:応用問題
独占企業における限界費用と独占価格
独占企業が$2$種類の費用関数$C_1(q), C_2(q)$に直面しているとする.
この費用関数は,すべての$q$に対して,$C^{\prime}_2(q) > C^{\prime}_1(q)$を満たしている.
$p_1^{*}, q_1^{*}$を費用関数$C_1(q)$の下での独占価格と数量,
$p_2^{*}, q_2^{*}$を費用関数$C_2(q)$の下での独占価格と数量とする.
このとき$q_1^{*}\geq q_2^{*}$となることを示しなさい.
【解答】
$p_1^{*}, q_1^{*}$を費用関数$C_1(q)$の下での独占価格と数量なのだから,
\[
p_1^{*}q_1^{*}-C_1(q_1^{*})\geq p_2^{*}q_2^{*}-C_1(q_2^{*})
\]
同様に
\[
p_ 2^{*}q_2^{*}-C_2(q_2^{*})\geq p_2^{*}q_2^{*}-C_2(q_1^{*})
\]
これらを加えると,
\[
C_2(q_1^{*})-C_1(q_1^{*})+C_1(q_2^{*})-C_2(q_2^{*})\geq 0
\]
\[
\int_{q_2^{*}}^{q_1^{*}}\Bigl(C^{\prime}_2(x)-C^{\prime}_1(x)\Bigr) dx\geq 0
\]
$C^{\prime}_2(q) > C^{\prime}_1(q)$なのだから,$q_1^{*}\geq q_2^{*}$である.
【解答終】
【メモ】
独占価格は限界費用の非減少関数となる.
【メモ終】
【Further Reading】
Jean Tirole ‘The Theory of Industrial Organization’ The MIT Press(1988)
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