経済学で出る数学

ワークブックでじっくり攻める:応用問題


中央値の性質

【問】
確率変数$X$に対して, \[ E|X-a| \] を最小にする,$a$は中央値であることを示しなさい.

【解答】
ます並べ替えをし, \[ x_1\leq x_2\leq \cdots \leq x_n \] としておく.$E|X-a|$の最小値を求めるためには \[ S(a)=\sum_{I=1}^n|x_i-a| \] の最小値を求めればよい.
両端から \[ (x_1,x_n), (x_2,x_{n-1}),\ldots \] とペアにしておく.各組$(x_{i},x_{n+1-i})$について, \[ |x_i-a|+|x_{n+1-i}-a| \] を考えると,$x_{i}\leq a \leq x_{n+1-i}$のとき, \[ |x_i-a|+|x_{n+1-i}-a|=(a-x_i)+(x_{n+1-i}-a)=x_{n+1-i}-x_i \] となり,区間$[x_{i},x_{n+1-i}]$上で最小となる.
$n=2k+1$のとき,$I=1,\ldots k$に対して,中央値は$x_{k+1}$だから,$x_i\leq x_k \leq x_{2k+2-i}=x_{n+1-i}$が成り立つ. $a=x_{k+1}$は全ての区間$[x_i, x_{2k+2-i}]$に含まれる.よって各組の和は$a=x_{k+1}$で最小であり,$|x_{k+1}-a|$も $a=x_{k+1}$で最小である.したがって$S(a)$は$a=x_{k+1}$で最小である.
$n=2k$のとき,中央値$m$は$[x_k, x_{k+1}]$の任意の点である($m=(x_k+x_{k+1}])/2$ととることが通常). $I=1,\ldots k$に対して, \[ x_i\leq m \leq x_{2k+1-i}=x_{n+1-i} \] なので$m$は全ての区間$[x_i, x_{2k+1-i}]$に含まれる.ゆえに各組の和は$a=m$で同時に最小となる.したがって$S(a)$は$a=m$で最小となる.
【解答終】

【問】
確率変数$X$に対して, 平均を$\mu$,中央値を$m$,標準偏差を$\sigma$とするとき, \[ |{\mu}-m|\leq {\sigma} \] が成り立つことを示しなさい.

【解答】
\begin{align*} |{\mu}-m|&=|E(X-m)|\\ &\leq E|X-m|\\ &\leq E|X-{\mu}|\\ &=E(\sqrt{(X-{\mu})^2})\\ &\leq \sqrt{E(X-{\mu})^2}=\sigma . \end{align*}
【解答終】

【Further Reading】
Harold Hotelling, Leonard M. Solomons, The Limits of a Measure of Skewness, Ann. Math. Statist. 3(2): 141-142 (May, 1932).
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